日本人の9割が知らない遺伝の真実
はじめに
この本は、(若干タイトルで釣ろうとしている感が否めませんが)遺伝の影響について事前知識のない人にもわかりやすく説明されています。
- 作者: 安藤寿康
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2016/12/05
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (7件) を見る
以下はAmazonに載っていた概要です。知能への遺伝のきよは日本では若干タブー視されているかと思いますが、その話題を中心として取り上げていることがわかりますね。
- いま注目の「行動遺伝学」からわかってきた、遺伝と環境、才能と努力、本当の関係!
- 教育学では、遺伝と学力の関係を無視してきたが、「知能指数は80%遺伝」という衝撃をどう捉えればいいか? 身長や体重など身体的な特徴だけではなく、IQや性格への遺伝的影響も大きいことがわかってきた。ならば、勉強することには意味がないのか? しかし、遺伝的なものが自発的に発現するとは限らず、教育環境も重要である。
筆者の安藤寿康さんは、行動遺伝学の第一人者として紹介されています。
印象の残ったところメモ
遺伝の作用
人間のほとんど全ての心理的側面には遺伝が無視することのできない大きな影響を与えている。
そもそも知能とは、「問題解決能力」「観察した事柄から法則性を抽出し、それを別の事柄に適用する論理的な能力」などと説明されている。
知能には、2つの大きな立場がある。
- 多重知能理論で、知能には複数の種類があるという立場。
- 一般知能理論で、頭の良さのベースとなる「一般知能」が存在しており、この能力に大きな個人差がある。
能力とは
あくまでも、どんな能力も社会的に認知されて初めて「能力」として定義される。
遺伝作用の実験方法
実験方法は、
遺伝子が100%同じ一卵性双生児と50%類似している二卵性双生児。同じ環境で育った一卵性双生児と二卵性双生児の類似性を比べて、もし一卵性双生児の方が似ているのであれば、それは遺伝の影響によるものだと考えられる。
何を共有環境として扱うか?
青年期のIQの個人差は、遺伝54%、共有環境19%、非共有環境27%によって作られている。
何が共有環境として働き、何が非共有環境として働くのかは、状況によって異なる。一見同じ場に居合わせて同じものを見ていても、違った意味づけをしているかもしれない。
遺伝の影響の割合
知能や性格、そして様々な分野における才能についても、遺伝は大きな影響を与えています。
- IQ:50%
- 勤勉性:50%
- 数学:85%
- スポーツ:80%
親と子
親の特徴がそのまま子供に受け継がれるわけではない。
勉強するのは無駄か?
能力は平等に配分されているわけではなく、各々が到達できるレベルには限界があるとされています。
どの領域でどの程度のレベルに行けるかどうかが、各人の遺伝的な素養のよって、ある程度規定されている
感想
遺伝と学力については自分の興味分野でしたので、スイスイ読み進めることができました。学力の経済学と読み比べるのもいいかもしれません。
遺伝ってこんなに作用しているんだという驚きと、その遺伝を見つけ出す為にも様々な経験をして遺伝的素養を発現させるのが大切だという筆者の言葉はとても納得のいくものになりました。