ひらめの日常

日常のメモをつらつらと

『エンジニアリング組織論への招待』を読んだ

目的

エンジニアの先輩におすすめされたので、自分も気になっていたしこのタイミングで読んでみました。印象に残ったところと感想を簡単にまとめます。

印象に残ったところ

Chapter 1 思考のリファクタリング

エンジニアリングとは

エンジニアリングは、曖昧さを減らしていく過程である。そしてそれに向かって組織を作る必要がある。

  • 誰かの曖昧な要求からスタートし、それを具体的にしていく過程全てがエンジニアリングという行為。つまりは、曖昧さを減らし、具体性を増やす行為がエンジアリングである
    • 物を実現するというのは、不確実な状態から確実な状態に推移させていく過程だと理解できる。
  • マイクロマネジメント型組織
    • 不確実性の削減が少ししかできない。具体的で細かい指示を必要とする。
  • 自己組織化された組織
    • 不確実性の削減をより多く行うことができる。抽象的で自由度のある指示でも動ける。

不確実性を孕んでいるのは、

  • 未来
  • 他人

であり、これらに向き合って不確実性を少しでも減らしていくことが物事を実現させる手段である。

考え方のフレームワーク

  • 論理的思考の盲点を知る:自分がどんな時に論理的でなくなる可能性があるか知る
    • これは感情的になる瞬間を知り、その影響を少なくすることと同義。
    • 怒りを伝えるのではなく、悲しみを相手に伝えることが重要。
  • 経験主義・仮説思考
    • 複雑で不確実性の高いものに対しては、とりあえず手を動かしてみて次何をすれば良いか考える。
    • わからないということ自体が次の一手への重大なヒントになる。
    • コントロールできる物を操作し、そして観察できる事を通じて、その結果を知識にすることしかできない。
    • 何が仮説なのかを明らかにする。
  • システム思考
    • 同じ目的を持ったチームのメンバーが局所最適の言い争いを発生させることなく全体最適に向かうことができるように。
    • 一次元上の観点から問題を捉えて、システムの全体像を把握していく。
    • 視野を広く、視点を鋭く、視座を高く考える。

何が組織の理不尽を増幅させるか

情報の非対称性と限定合理性が人間の不完全さを加速させる。

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(画像は本より引用)

組織で求められるコミュニケーション能力とは、コミュニケーションの不確実性を減少させる能力のこと。これによって情報の非対称性と限定合理性を低減させていく。

Chapter 2 メンタリングの技術

自立型人材とメンタリング

  • ある人が自立型人材であるには、上司が部下に自立的に考えてほしい期待値と、部下がどこまで自立的に考えるのが自分の仕事だと捉えているかの二つの期待値が一致している 必要がある。
  • メンタリングとは、自立型人材を作るために、信頼関係の上に期待値を調整して、適切に自己効力感を持てるようなフィードバックループを作り出すこと。

メンターメンティーの関係性

  • 謙虚:お互いに弱さを見せられる
  • 敬意:お互いに敬意を持っている
  • 信頼:お互いに成長の期待を持っている

メンタリングの知識

  • メンタリングでは、見えてない課題に自分から気付かせる事を重視する。
    • 自分自身で気がついた事を自己説得といい、これを重視する。
    • 答えではなく質問でメンティにとっての思考回路の盲点を外していく。
  • 悩みを聞き出し、気づきを促して、「考える」に変えていくことが大事。
  • 問題に対して向かう際に意識する流れ
    • 感情的に固執しているかもしれないので、傾聴する。
      • 全く同じ感情になるのではなく、個人的な感情を理解すること。
    • 客観視できないかもしれないので、可視化する。
      • 些細な言葉の使い方に、認知の歪みを見つけ出すことができる。
    • 前提を変える、リフレーミングをする。
      • 一旦この前提がなかったらどうなりますか?のように聞く。

本当の心理的安全性とは

ここでいうラーニングゾーンに導くことによって、初めて成長を促すことができる。 f:id:thescript1210:20210112004725p:plain

(画像は本より引用)

  • 心理的安全性のポジティブな影響を享受するのであれば、明確に対人リスクをとる事を促す必要がある。
  • メンティが存在することに対して、メンティがした行動に対して、理解をし、受け入れ、感謝を伝える
    • 必要なのは、結果でハンク行動、行動だけでなく存在への承認
    • 頼られるという体験は強烈な自己承認と自己効力感を生み出す。
  • アクノレッジメント:相手に対して興味関心を持ち、変化にいち早く気がつき、言葉や行動を通して伝える
  • 自己開示と感謝の共有。そして自己開示へのフィードバック。

どのようにして成長を促すか

  • 内心だけでなく行動に注目する。
    • 行動は見ることができる。さらにメンティ自身がコントロールできる。
    • SMARTの原則を意識する。(Specific, Measureable, Achievable, Related, Time-Bounded)
  • 能力は習慣の積分。習慣は行動の積分
  • 行動が取れない時は、促進する力よりも阻害する力の方が大きいからだと考える。
  • 行動を促進する要因はフィードバック機会を増やし、適切に承認していき強化する。

Chapter 3 アジャイルなチームの原理

ここからはあまり興味分野ではなかったので、そこまでしっかりとまとめていない。

アジャイル開発においては、最初期には大雑把に見積り、実際の開発工程にどの程度進んだかという実験的な知見をもとに、どの程度の期間がかるのかを推計します。そして、それを繰り返していくことで、徐々に方法不確実性を減少させ、スケジュールの精度を上げるように振る舞います。

Chapter 4 学習するチームと不確実性マネジメント

スケジュール不安とどのように向き合っていくのか、どのように可視化していけばよいのかを中心にマネジメントしていくことで、現場のストレスを削減しながら、同時に経営上のメリットも実現することができます。

Chapter 5 技術組織の力学とアーキテクチャ

権限と責任

  • 組織の情報処理能力を考えた時、人間同士の関係性の問題が大事。
  • 権限の異常には、明示的で連続的なコミュニケーションが必要不可欠。
    • 明示的でない権限は、最も不自由な状態と違いがない
  • 上司と部下の責任の不一致が生じると、情報の非対称性によって組織の情報処理能力は低下する。
  • 言う度にひっくり返されるのに、自分で考えろと言われてしまうのは、不透明な権限理解によるもの。

目標設定

  • 目標を管理するのは、従業員が納得して達成に臨む事を支援するため。
  • OKRでは、100%の努力に対して達成できそうなところを70%のところにし、それよりも高い目標を掲げる。
  • 組織の透明性とは、情報が整合性を持って、組織内に正しく伝達される事。
    • 上から下だけではなく、下がどのような状態で仕事をしているかも伝達される必要がある。

その他

  • 技術的負債は見えてしまえば、非機能要件として管理可能。
  • 根本的な問題が構造上の問題にあると気づけば、対立は消滅する。

感想

自分が仕事をしていて、責任と権限については非常に思うところがあった。確かに自分が任されていたものについても、自分がどれだけの責任を明確に持っているかがはっきりしていないために、自分で悩んでしまい手が止まることが多かったからだ。自分が悩んでいる時は、まずは考えるに移行できるように、自分の責任について明確に期待値を合わせていく必要があると強く感じた。

また、メンタリングについても自分がメンタリングする側/される側どちらの時にも意識しておけることだと感じ、これからに生かしていきたいと思った。

本全体を通じて、

  • エンジニアリングとは不確実性を減らしていくことだ。
  • 不条理は組織の構造や不確実性に対する向き合い方によって生じているのだ。

と言う一貫したメッセージを受け取ることができ、実践するために始業前とかに見返してどんなことができるか考えてみようかと思う。