ひらめの日常

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『教育の効果 メタ分析による学力に影響を与える要因の効果の可視化』まとめ

とっくのとうに読み終わっていたのですが、記事は途中なので随時更新します。まだ自分用のメモ程度です。

学習者要因の影響

生涯にわたって15000時間を子供は学校で過ごすが、これは起きている時間の約3割が教師に委ねられているという計算になる。しかしながら、ここでは学校に入学する前にすでに子供に培われた要因について論じている。

過去の学力

過去の学力は大きな影響を持ち、2/3の学力の伸びを説明するという内容は恐ろしい内容だが、残りの1/3はそのあとに変わると考えると、意外と悲観することでもないかもしれない。

  • 過去の学業成績は学習の習熟を最も予測する変数である。
  • 過去の学力はその後の学力の伸びを68%説明する。逆に32%は過去の学力からは説明できない。しかしながら、就学前教育や遺伝的要因は入学後の学力をかなり左右する。
  • 22ヶ月時点での能力が26歳時点の学力を十分に予測していたことが明らかとなった。

態度と気質

言われれば確かにその通りという内容が多いが、データとしてきちんと客観的に示されていることは大きい。動機付けをどのようにして促進していくかは教師にとって大事な能力であると感じた。

  • 不安、独りよがりの傾向、外交性などと学力の関係はほぼ見られない。
  • 自己効力、自己概念、動機付け、学業達成への粘り強さなどは学力と高い相関が見られる。
  • ビッグファイブ(神経症傾向、外交性、開放性、調和性、勤勉性)のうち、勤勉性以外は学力に与える効果は小さかった。
  • 普段から幸福感を覚え楽しい気分でいる人は創造的で効率よく問題解決を行う傾向が見られる。
  • 自己効力感(できる、したいといった信念)が、自己に対する認識の面では学力と一番関係が強い。しかしながら、自己効力感と学力はお互いに影響を及ぼし合っているので、単純な因果関係ではない。
  • 学習者が有能さを感じている時、自律性を十分に感じている時、やりがいある目標を設定した時、適切な評価を得た時、そして他者から認められた時に、動機付けは最も高くなる。
  • 学習は自己責任において行うものであると考えている度合いと学力のとの間には相関が見られる。
  • 明確な学習目的と、わかりやすい到達基準があり、学習者にとって学習が見通しのあるものにすることが、学習者が学習に対して積極滝に取り組めるようにするためには必要不可欠。

就学前教育

新しいことに挑戦するという姿勢自体が、早い時期から育まれるべきものであるということは大事。

  • 早期教育の全体的な効果は教師の効果を上回る。しかしこの効果は学校に上がって学年が進みにつれて減少する。
  • 保護者が関与することで早期教育の効果が高まるということについてエビデンスはない。

家庭要因の影響

子供に伝わる保護者の後押しや期待は大きな影響を持つということについて語られている。

社会的な地位

  • 学習者の学力に対して顕著な影響がある。
  • 地位によって就学時点で語彙力が倍近く違った。
  • 学習者の方が家庭の経済的・文化的背景に伴う違いによる不公平感を低く見積もる。
  • 学校側から教育用語や学校とはどのような場であるかを親に知ってもらう取り組みが効果を上げている。
  • 保護者自身の学習に対する働きかけも効果があった。

生活保護

  • 目に見えるほどの差ではないが、優位に低い値が出ている。

家族構成

一番影響が大きいのは、子供に対して保護者が願望と期待をかけること。家庭条件よりもはるかに大きな影響をもたらす。

  • 養子に入る年齢が遅ければ遅いほど、学力が下がる。
  • 一人っ子である子供は、兄弟のいる子供と比べて学力と知能が高い。しかし効果は小さい。
  • 母親としての子供との養育的な関わり、日課の多様性、適切な遊具の用意が学力をあげた。(しかし、父親に関しては言及されていない。)
  • テレビ視聴の適正時間は年齢が上がるに連れて短くなる。視聴時間が週に35-40時間を超えると負の効果量が大きかった。
  • テレビ視聴が社会的に良い行動に与える効果は、反社会的行動に対する効果を上回る。
  • 保護者による勉強の監視は、思春期の学習者の希望や意欲に対して負の影響を与える。
  • 保護者が期待をかけることは影響が大きい。
  • 保護者は子供に読み聞かせをすることよりも、はるかに、読み方のコツを教えることが効果的である(10倍近くも...!)

学校要因の影響

マルチレベリング手法によって分析が行われてきた←要勉強。 児童生徒の学力の分散は学校間要因よりも、学校内要因によって説明される部分が大きいことを明らかにした。

学校構成の効果

  • 高校の学校規模が学力に与える効果は大きい。
  • 学校に在籍する児童生徒が経済的に恵まれているほど適正となる集団規模は大きくなる。
  • 学校外で行われる学習プログラムによってもたらされる学力の伸びは小さい。

学級構成の効果

  • 学級規模が学力に与える効果は一貫して小さい。
  • 学級規模が小さく変わっているのにも関わらず、それに合わせて授業の方法を大きく変えていないことが原因の一つとして考えられる。
  • 能力別学習集団編制の効果は極めて小さく、また低学力集団の生徒に関してはより学習を遠ざけている。なぜなら、低学力の生徒に対して教師は何も期待しないからだ。
  • 複数の学年の児童生徒が同一の教室で同一の授業を受けるシステムでも、効果は低かった(つまり、負の効果も与えなかった)。
  • 小集団に対して課題を与え、自力で解決させる場合は、大学生に対する効果量が大きかった。

学級の風土

  • 児童生徒に対して教師が敏感になること、適切な心構えを持つこと(これはなんだろう...)、規律的介入をすること、などなど...規則や行動規範を示すことも大事である。
  • 一心に目標に向かおうとする態度、前向きな人間関係、社会的な支援が学習をより良いものにする。集団のまとまりは学力に大きな影響を及ぼす。